貞永方久監督映画「海嶺」(1983年)を例に、
劇作品で使われる「状況内音楽」を
直後に流れる音楽と関連づけたかのように聴こえる音楽演出
について取り上げます。
物語序盤、
登場人物の女性がピアノを弾くシーンがあります。
ほんの数秒の短いフレーズのみ。(状況内音楽)
それからすぐに「歌もの」の音楽に変わり、
映像としても別のシーンへ移行します。
ここのつなぎに注目すると、
「ピアノの短いフレーズ」が
「直後に使われる歌もの」に対する
「前奏」であるかのように聴こえてくるのが面白い。
「ハーモニー」「音の厚み」など
音楽的な要素としても自然な繋がり方。
音楽が
「1つ終わって次、もう1つ終わって次…」
などといったように用いられると
映像にいちいち段落感がついてしまいます。
一方、
上記の場面での有機的な繋ぎ方は
段落感をつけずに
むしろ「複数の映像同士の関連性」まで示しているように
捉えられる点が興味深いところでした。
【補足】
この後者の音楽も、
実は登場人物が歌う「状況内音楽」であったということを
のちに映像が説明します。
したがって、
掲題の場面では
「2つの別々の状況 ”内” 音楽を繋いだ」
ということになります。
この後者の音楽も、
実は登場人物が歌う「状況内音楽」であったということを
のちに映像が説明します。
したがって、
掲題の場面では
「2つの別々の状況 ”内” 音楽を繋いだ」
ということになります。
◉ DVD 海嶺 HDリマスター版