「This Is Halloween」デモと完成音源の聴き比べ

 

ヘンリー・セリック監督映画「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」(1993年)
のサウンドトラック盤のうち特定のエディションには、
「オーケストレーション前のデモ」と思われるトラックが4曲も収録されています。

 

◉ ナイトメアー・ビフォア・クリスマス
スペシャル・エディション・オリジナル・サウンドトラック(初回限定盤)

 

 

 

 

 

「オーケストレーションなんて言われても分からない」
という方でも
違いを聴き分けることは充分に可能です。
デモとして収録されているのは、

◉クリスマスを始めよう(デモ)
◉ウギー・ブギーのうた(デモ)
◉ハロウィーン・タウンへようこそ(デモ)
◉サンディ・クローズを誘拐しろ(デモ)

の4曲です。
一番有名な
「ハロウィーン・タウンへようこそ(This Is Halloween)」
を取り上げて、
完成した音源はどこが変わったのかを見ていきましょう。

まず、誰が聴いても分かるであろう変化としては、

◉完成版では、コーラスの人数が増えてゴージャスになっている
◉完成版では、楽曲の終わり方が異なる(笑い声などが加わっている 他)

また、もう少し高度な変化としては、

◉完成版では、生演奏の楽器が増えている(シンセサイザーの音を置き換えている)
◉完成版では、フロアノイズなどが除去されている
◉完成版では、どこにどの音を配置させるか(定位)が整理されている
など。
他にも変化は多く見られますが
特に注目する部分はこの5点です。
デモに更なるアレンジが加えられて完成版となっているわけですが、
元々の根幹が「シンプルなメロディ」なので
様々な方向性へのアレンジに耐えうる素材になっています。
また、
完成版で「コーラスが増えてゴージャスになっている」という点では、
ただ単に人数が多い歌唱というだけでなく
様々な特徴ある声質が出てくるので
より色彩感が増しています。

叫ぶような声 → 効果音、パーカッションのような役割
笑い声 → 効果音のような役割

など。
新しく加えられた要素はもちろん、
デモでも聴かれる要素でさえ、さらに拡大表現されています。
「ハロウィン・タウンの住人達」が歌っている、
という設定で登場する「状況内音楽」なので、
住人たちの個性的な声質が
そのまま楽曲のサウンドの特徴となっています。

さて、
サントラ盤に記載された両者のクレジットを比較してみると…

【デモのクレジット】
THIS IS HALLOWEEN[DEMO] (Performed by Danny Elfman)
【完成版のクレジット】
THIS IS HALLOWEEN (Performed by Citizens of Halloween)
デモのクレジットに書かれている、
Performed by Danny Elfman
というところに注目してください。
デモではこの楽曲の作曲家「ダニー・エルフマン」が
歌を歌って多重録音をしているのですね。
(実は、この楽曲の「詞」まで作っている多才さ!)
ダニー・エルフマン自身、
こういった制作スタイルは頻繁に取り入れているそうです。

 


 

◉ ナイトメアー・ビフォア・クリスマス
スペシャル・エディション・オリジナル・サウンドトラック(初回限定盤)