大半が状況内音楽で構成されている映画

 

今回は、
齋藤武市監督映画「ギターを持った渡り鳥」(1959年)
の劇音楽について触れます。

この映画の劇音楽には、
「大半が状況内音楽で構成されている」
という大きな特徴があります。

映画では「状況内音楽」よりも「状況外音楽(通常の劇伴のこと)」
のほうが多く使われるのが一般的です。
一方、この映画ではその逆。
大半が状況内音楽であり、
状況外音楽が使われているのは
オープニングや映画終盤を中心に数曲のみ。
したがって、
音楽映画を観ているような印象を受けます。

状況外音楽はその名の通り、
「背景音楽として外的に加えたもの」
なので、
作曲家がどんなに工夫したとしても
それはある意味、本編とは関係のない音とも言えます。
しかし、
状況内音楽は
「ストーリーの中で実際に聴こえている音楽」
なので、
本編と直接関係のある音。
状況内音楽が多く使われている映画では
現実味と言いますか、リアルさが増すのは当然のことです。

もちろん、
「状況外音楽にはできて、状況内音楽には困難な表現」(本記事では詳述を割愛します。)
もあるので
状況内音楽が多ければ必ずしもいいというわけではありません。
こういったサジ加減は、演出次第でしょう。

ちなみに本編に登場する状況内音楽としては
以下のようなものが挙げられます。

◉ 滝伸次(小林旭)のギターでの弾き語り   複数回登場
◉ 滝伸次および秋津由紀(浅丘ルリ子)のピアノ演奏
◉ バーでの店内BGM   複数回登場

これらの他、あらゆるシーンで何度も状況内音楽が聴かれます。

 


 

齋藤武市監督映画「ギターを持った渡り鳥」(1959年)は
2022年現在、「Amazon Prime Video」で観ることができます。
(視聴時期によっては、配信終了している可能性もあります。)

» Amazon Prime Video「30日間の無料体験」はこちら

 

◉ 日活100周年邦画クラシック GREAT20 ギターを持った渡り鳥 HDリマスター版 [DVD]