若杉光夫監督映画「ガラスの中の少女」(1960年)
の劇音楽より
場面変化における音楽表現について触れていきます。
映像での場面変化+音楽での場面変化
映画序盤、
靖代(吉永小百合)と陽一(浜田光曠)が
駅で会っている場面。
ここでは「ミュートをつけたトランペットの音」でメロディが奏でられます。
直後に、この2人が喫茶店にいる場面に変化。
ここでは、
先ほどと同じメロディが「アコースティックギター」で奏でられます。
映像が変わるだけでも
場面転換は分かりますが、
「メロディを演奏する楽器の使い分け」
という観点でも
「音楽による場面転換サポート」
が表現されています。
以下の2点の条件が揃ったことで、
その効果が増しています。
①同じメロディを使ったこと
②まったく異なる音色の楽器を併置させたこと
②まったく異なる音色の楽器を併置させたこと
仮に、”異なる” メロディの2曲が続いた場合は
そういうものとして聴いてしまいますが、
同じメロディを用いたことで
それ以外の変化、
つまり「楽器の変化」に耳がいくように工夫されています。
加えて、
その差を「まったく異なる音色」で併置させたことで
効果が上がっています。
例えば、
「弦楽器から違う弦楽器へ」
「ハープからピアノへ」
などといった例では
音楽で演出したと思えるほどの変化はありません。
しかし、
「ミュートをつけたトランペットからアコースティックギターへ」
というのは、
非常に音色差が大きく
ガラッと場面転換を変える効果を感じます。
若杉光夫監督映画「ガラスの中の少女」(1960年)は
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◉ ガラスの中の少女