山崎徳次郎監督映画「JA750号機行方不明」(1959年)
を例に、
「乗り物の移動に関して流れる音楽」に着目します。
本編中、
「登場人物が乗り物で移動する場面」は6ヶ所あります。
基本的にこういった場面では
必ずしも音楽が必要ではありません。
一方、この映画では、
「6ヶ所中5ヶ所」に音楽がつけられており、
それぞれの使用用途も「3パターン」にわたります。
何のために使用された音楽なのかを
簡単にまとめました。
①【11:30頃】 場面を説明している音楽
「オートバイの移動」
長谷(待田京介)と木庭の娘京子(稲垣美穂子)の二人乗り。
刻みを伴う、ある程度の疾走感がある音楽。
つまり、
「場面を説明している音楽」
と言える。
音楽が終わると場面も変化する。
②【26:50頃】 他場面と共有している音楽
「オートバイの移動」
長谷がトンネルの中を移動。
”オープニング音楽” と同質の楽曲。
音楽が終わると場面も変化するが、
直前の別の場面と音楽を共有しているため、
オートバイのためだけの音楽ではない。
③【29:20頃】 場面を説明している音楽
「オートバイの移動」
観音経渓谷へ向かう長谷。
刻みを伴う、ある程度の疾走感がある音楽。
音楽が終わると場面も変化する。
①とほぼ同じ役割を持つ音楽と言える。
④【36:20頃】 場面を説明している音楽
「車の移動」
観音経渓谷へ向かう木庭(永井智雄)。
刻みを伴う、ある程度の疾走感がある音楽。
車が止まると、音楽も自然に終わる。
①③とほぼ同じ役割を持つ音楽と言える。
⑤【ラスト-1】 唯一、乗り物の移動に関して音楽が流れない場面
「救急車1台、オートバイ2台、および車1台の移動」
長谷の事故を知って観音経渓谷に駆けつけた人々が帰っていく。
音楽はなし。
唯一、乗り物の移動に関して音楽が流れない。
⑥【ラスト-2】 エンディングを兼ねている音楽
木庭が観音経渓谷を後にする。
車の移動とともに音楽がスタートし、そのままエンド。
「エンディングを兼ねている音楽」
このように整理してみると、
一口に
「乗り物の移動に関して流れる音楽」
といっても、
演出によってさまざまな役割を持たせていることがわかります。
これらはほんの一例であり、
作品によっては
「カー・チェイス」をはじめとし、
さらに幅広い演出が見られます。
山崎徳次郎監督映画「JA750号機行方不明」(1959年)は
2022年現在、「Amazon Prime Video」で観ることができます。
(視聴時期によっては、配信終了している可能性もあります。)