表情を印象付ける、オープニングテーマのカットアウト

 

カットアウト」とは、
簡潔には「再生している映像または音声を電気的にストンとカットする」手法です。
「カットオフ」と呼ばれることもあります。

カットアウトの演出には様々なやり方が見られますが、
今回は、
森崎東監督映画「黒木太郎の愛と冒険」(1977年)
の中で出てくる、
「オープニングテーマのカットアウト」
の例を取り上げます。

この作品で特徴的なのは、
「オープニング・クレジットの際に流れる、オープニングテーマがカットアウトされている」
という点です。

こういった音楽演出の例はときどき見られます。
しかし、
通常オープニングテーマは
音楽としても重要な役割を持たせていることが多いので
しっかりと聴かせていきますし、
途中でカットアウトして急激に終わらせる例は
それほど多くありません。

この映画の内容は
日本アート・シアター・ギルド(ATG)の他作品でも良く見られるように
「クライマックスがあって、そこへ向かっていく」
というタイプのものではありません。
したがって、
音楽的に実験的な試みがおこなわれても
違和感なく鑑賞することができます。

音楽のカットアウトというのは、一種の「印象付け」
黒木太郎(田中邦衛)の顔が
はじめて分かりやすい形(アップ)をもって映し出されるタイミングで
カットアウトされるので
「その表情を印象付ける役割も音楽が担っている」
と言えます。

 


 

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