衝撃的な映像にアクセントを加える音楽


今回は、
映像にアクセントを加える音楽と、
そのアクセントの付けられ方について。
内田吐夢監督映画「飢餓海峡」(1965年)を題材にします。

杉戸八重(左幸子)が絞殺される場面で音楽が流れた後、
ラストシーンまで約1時間15分もの間、音楽は沈黙します。
(途中、「効果音」はあり。)
そしてラスト、
樽見京一郎・犬飼多吉(三國連太郎)が海に身を投げるという
映像として非常に衝撃的な場面で
久々に音楽が流れます。

これは、
映像にアクセントを加える音楽。
映像だけでも充分に衝撃的ですが、
音楽でさらにアクセントを加えることによって
そのインパクトを大きくしています。

「音楽が沈黙していた時間が長かったからこそ、効果が上がっている」
というのは間違いないでしょう。
耳が慣れてしまっていると
迫力が迫力に聴こえなくなるのと同じで、
上記のような表現も
前に沈黙があることでより活かされています。

加えて、
「海へ身を投げたあと、1-2秒経ってから音楽が始まるところ」
に工夫がみられます。
人間は何かを目撃した後にそれを認識するまで
ほんの少しの時間がかかるはず。
状況を飲み込めていない状態において
先に音楽で説明してしまうことなく、
わずかに遅らせて音楽が出てくることで
より印象深い場面にしようとしたのでしょう。

 


 

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