「状況内音楽」として引っ張られた、テーマのメロディ

 

引き続き、
中平康監督映画「月曜日のユカ」(1964年)
を題材にします。

JAPANESE CINEMA MUSIC「黛敏郎の世界」(CD)のブックレットに、
この映画の音楽について
以下のような黛敏郎 氏のコメントが掲載されています。

(以下、抜粋)
たしか、アメリカのジャズグループだったけど、
僕はこれを参考にして作ったわけです。
一つのテーマ曲で全篇を通すという方法をとりました。
こうした方法は、当時としては、あまり行われていなかった。
昔は20場面あると20曲全部違ったものを作るというやり方で、
同じ曲を使うと手を抜いたと思われる時代だったですから。
(抜粋終わり)

このような方法がとられたことで起きた面白みのひとつは、
オープニングクレジットで流れた
いわば「メインテーマ」のメロディが
状況内音楽」としても引っ張られたという部分。

以下のような例。

◉ 56:30頃から、鏡の前で身支度をしているユカが歌う
◉ 61:20頃から、屋外でジャズバンドにより演奏される(放送の可能性もあり)

前者は紛れもなく状況内音楽ですし、
後者も、演奏者や音源こそ見せていませんが
映像が室内のシーンへ移行するのにあわせて音量が下がるので
屋外での状況内音楽と考えていいでしょう。

状況内音楽では、
観客が状況内音楽だと理解しやすくするためにも
既存の有名な作品を使用することが多い。
しかし、メインテーマを状況内音楽として引っ張ってくることで
作品全体の統一感が出ましたし、
同じメロディを繰り返し使っても
飽きることなく新鮮さを感じる効果が出ています。

 


 

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