映画音楽の辞書的な参考書籍

 

映画音楽について辞書的に幅広く書かれている参考書籍を紹介します。

 

「On the Track: A Guide to Contemporary Film Scoring (English Edition)」
著者 Fred Karlin, Rayburn Wright
出版 Routledge 出版年 2002年

 

 

 

 

 

洋書で、日本語訳はまだ出版されていません。
ただ、譜例や図が豊富なので理解し易い内容となっています。
どちらかというと音楽家向けに書かれている内容ではありますが、
映画音楽について総合的に書かれているので、
譜面が読めない方でも参考にできる項目は山ほどあります。
音楽家以外の方にもオススメします。
主にアメリカでの映画音楽制作の裏側を知ることが可能。

章立てとしては以下のようになっており、
それぞれの章がさらに細分化されています。

CONTENTS
Ⅰ PRELIMINARIES
Ⅱ CONCEPTUTUALIZING
Ⅲ TIMINGS
Ⅳ COMPOSING
Ⅴ RECORDING
Ⅵ ELECTRONIC AND CONTEMPORARY SCORING
Ⅶ SONGS
Ⅷ THE BUSINESS

作曲家「ジョン・ウィリアムズ」による序文(推薦の言葉)に始まり、
発案・企画・プロデュースなどの「プリプロダクション」と呼ばれる行程、
近年(出版当時)の新しい傾向、ビジネスについて、
といったように制作の入り口から出口までが解説されています。
現場にいる音楽家や力のあるスタッフがそれぞれの工程について語る、
読み物的なページも多く、
「知識と現場が結びついた内容」となっている点も魅力。

近年(出版当時)の新しい傾向だけでなく、歴史的な内容も網羅されており、
今現在では用いられなくなった音楽収録方法についても触れられているので、
歴史の進化と映画音楽にまつわる技術の進化を関連させて眺めることができます。

辞書的な書籍というだけあって、ものすごいボリューム。
読破するというよりは、
目次を見ながら興味のある部分を読んだり、
辞書的にリファレンスをとる方法で使うといいでしょう。