前回記述した「複数シーンで共用される状況内音楽」という記事の補足内容です。
2015年に公開されたとある時代劇映画では、
屋外で横笛を吹く人物を映して
「状況内音楽としての笛の音である」と観客に説明した後、
「屋外の別のシーン」を映し、
遠くから聴こえてくる笛の音を状況内音楽として残し続けていました。
加えて、笛が聴こえる範囲にある屋外の別のシーンをさらに追加で用いることで
複数シーンで共用される状況内音楽を成立させていました。
一方、
「屋外で横笛を吹く人物を映して〜」よりもさらに前の段階に注目するのが
今回のジャーナルです。
最初はその笛の音は通常の劇中音楽であるかのように
「状況外音楽」として使用され始めたのです。
つまり、
「屋外で横笛を吹く人物を映して〜」の前の段階ですので
観客はそれが「状況内音楽」であるということはまだ分かっていません。
【補足】
結局は状況内音楽であるけれども、
観客の感覚としては状況外音楽からスタートしたことになります。
結局は状況内音楽であるけれども、
観客の感覚としては状況外音楽からスタートしたことになります。
その後、
映像が「屋外で横笛を吹く人物を映して〜」の段階にくることで
「今まで聴いていた音は実際に物語の中で流れていた音だったんだ」
と理解することになります。
音楽演出としては、
「状況外音楽から状況内音楽への移行」
と言えるでしょう。
あくまで一例ではありますが、
この演出表現をとることで
状況外音楽と状況内音楽が
「同じ時間」かつ「音が聴こえるくらいの近い空間」
に存在していることを示せます。
そのことにより、
「それぞれの映像シーン同士の関連性」を示すことができます。
【補足】
反対に、
「状況内音楽から状況外音楽への移行」
という音楽演出が見られることもあります。
例えば、
ウディ・アレン監督映画「ミッドナイト・イン・パリ」(2011年)
の作品中など。
反対に、
「状況内音楽から状況外音楽への移行」
という音楽演出が見られることもあります。
例えば、
ウディ・アレン監督映画「ミッドナイト・イン・パリ」(2011年)
の作品中など。
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