「状況内音楽」と「状況外音楽」は
特殊な効果を狙って同時に使用されることもあります。
大きくは次の2パターンです。
①クロスフェードさせる
②どちらも通常の音量で使用することで不協和状態を作り出す
クロスフェードさせる
これは過去にも多く取り入れられてきた手法です。
一方がフェードアウトするにつれて
もう一方がフェードインしてきます。
両者が同居している時間は概ね「数秒」になります。
図例の状況内音楽と状況外音楽の位置が逆になることもあります。
2つの異なった音楽がクロスされるので
「それらの関連性を強調したいとき」
などに用いられることが多い演出手法です。
どちらも通常の音量で使用することで不協和状態を作り出す
この音楽演出は前者に比較すると珍しいものとなります。
具体例として、
木下惠介監督映画「破れ太鼓」(1949年)
のラストシーンを挙げます。
この映画のラストシーンでは、
まず、オルゴール製造会社にあるオルゴールの一つが鳴り出します。
この段階で既に状況内音楽となります。
そして、
製造会社にある他のオルゴールも次々と鳴り出し
一種の不協和状態が作られます。
この段階でも、使用されているのは状況内音楽のみとなります。
しかし、そこに状況外音楽としての劇音楽がかぶさってきます。
状況内音楽はフェードアウトさせずに
状況内、状況外のどちらも通常の音量で使用することで
より一層の不協和状態を作り出し
そのまま映画が終わります。
この音楽演出により何を表現したかったのか
はっきりとは分かりませんでしたが、
印象に残る音楽演出となっていたことは確かです。
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