劇作品の音楽では、
「どのような音楽が使われるか」
ということも大きい要素ですが、
当然ながら
「音楽がどのように使われるか」
という要素によっても
映像の感じ方に変化があります。
今回は、
戦前の名作と言われている
清水宏監督作品「按摩と女」(1938年)
を題材に、
「音楽の使われ方」と「映像のリズム」との関係について考えてみます。
この映画作品では、
音楽部分を大きく整理すると以下のようになります。
状況外音楽(通常の、「劇伴」と言われる音楽)
◉ 使用されるのは「屋外」のシーンのみで、「屋内」のシーンでは未使用
【種類】
a. 音楽のみの音声(環境音はミュートされている)
b. 音楽とセリフによる音声(環境音はミュートされている)
c. 音楽と環境音による音声
d. 音楽、セリフ、環境音による音声状況内音楽
【種類】
a. 作品中盤で、按摩の福市が尺八を演奏するシーン(屋内)
◉ 使用されるのは「屋外」のシーンのみで、「屋内」のシーンでは未使用
【種類】
a. 音楽のみの音声(環境音はミュートされている)
b. 音楽とセリフによる音声(環境音はミュートされている)
c. 音楽と環境音による音声
d. 音楽、セリフ、環境音による音声状況内音楽
【種類】
a. 作品中盤で、按摩の福市が尺八を演奏するシーン(屋内)
この作品の特徴として、
状況外音楽は「屋外」のシーンにしかつけられていません。
「屋内」のシーンでは
福市が尺八を演奏する箇所がありますが、
これはあくまでも「登場人物が出す音」です。
音楽の使用箇所が「屋外」「屋内」で分別された
このような音楽演出により、
映像自体にリズムが生まれています。
加えて、
「作品全体の統一感」も感じられる演出になっています。
状況外音楽は「屋外」のシーンにしかつけられていません。
「屋内」のシーンでは
福市が尺八を演奏する箇所がありますが、
これはあくまでも「登場人物が出す音」です。
音楽の使用箇所が「屋外」「屋内」で分別された
このような音楽演出により、
映像自体にリズムが生まれています。
加えて、
「作品全体の統一感」も感じられる演出になっています。
屋外のシーンに関して、
音楽がつけられていない箇所では
「環境音」が効果的に取り入れられています。
「山の温泉場」が舞台というだけあり、
その内容は、
「川の音」「鳥の鳴き声」「滝音」
など多彩です。
また、
「時代を感じさせる音声」として
生活音の「下駄の音」も耳に入ります。
状況外音楽の中では
序盤の温泉場に向かうシーンなど
環境音がミュートされている箇所が非常に多く、
屋外のシーンの中でも
「音楽を聴かせる箇所」
「環境音を聴かせる箇所」
この2種類が丁寧に使い分けられている印象があります。
このあたりも、
映像自体にリズムが生む隠れた要素となっています。
音楽がつけられていない箇所では
「環境音」が効果的に取り入れられています。
「山の温泉場」が舞台というだけあり、
その内容は、
「川の音」「鳥の鳴き声」「滝音」
など多彩です。
また、
「時代を感じさせる音声」として
生活音の「下駄の音」も耳に入ります。
状況外音楽の中では
序盤の温泉場に向かうシーンなど
環境音がミュートされている箇所が非常に多く、
屋外のシーンの中でも
「音楽を聴かせる箇所」
「環境音を聴かせる箇所」
この2種類が丁寧に使い分けられている印象があります。
このあたりも、
映像自体にリズムが生む隠れた要素となっています。
【補足】
ちなみに、
全体的に音楽の内容としては非常にシンプルです。
例えばラストシーンの音楽は、
「東京から来た女」の去り際に余韻を残すかのように
少ない音数による遠くを見つめるような細い音楽が
効果的につけられています。
ちなみに、
全体的に音楽の内容としては非常にシンプルです。
例えばラストシーンの音楽は、
「東京から来た女」の去り際に余韻を残すかのように
少ない音数による遠くを見つめるような細い音楽が
効果的につけられています。
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