舞台、映像、音声などの劇作品に付けられる音楽の終わり方は
大きく分類して以下の3パターン。
それぞれ表現される内容が異なるために、
特に「フィルムスコア(リング)」の場合は
適切に使い分けられています。
①最終音を長く伸ばして終わる
この方法は、
「劇作品の音楽」に限らず「通常の音楽作品」でも多く用いられています。
劇作品の音楽に用いる場合には
使いすぎないように注意が払われていることがほとんど。
というのも、
一つの劇作品では通常たくさんの音楽が使われますが、
それらの楽曲の多くをこのように終わらせてしまうと、
音楽が終わるたびにいちいち段落感がついてしまうからです。
それが劇自体に与える影響もあるので、
劇自体に段落感をつけたくない箇所では
音楽でもつけないように工夫がとられています。
①による方法の関連項目として、
「完全終止」「不完全終止」については
別記事でご覧に入れます。
②カットアウト
「カットアウト」とは、
簡潔には「再生している映像または音声を電気的にストンとカットする」手法です。
「カットオフ」と呼ばれることもあります。
例えば、
夢を見ているシーンで夢から覚めると同時にカットアウトの手法を用いることで
「映像と音楽の両面で現実に戻す効果的な演出」をすることがあります。
音楽におけるカットアウトには
楽曲自体が終わることによるケースもありますが、
「楽曲自体は終わっていないもの」をカットすることで
より強い効果を表現することもできます。
③フェード・アウト
ストーリーや段落の始まりで(映像を)フェード・インしたり、
ストーリーや段落の終わりで(映像を)フェード・アウトをするというのは、
映像作品でもよくとられている手法です。
音楽に対しても「フェード・イン」「フェード・アウト」を用いることで
似たような表現ができます。
一方、
フェード・アウトされる楽曲ばかりが続くと
音楽を先に作って、後から映像を当てはめたように聴こえる傾向があります。
(「溜め録り(ためどり)」を参照してください。)
したがって、
映像が出来上がった後に音楽を作る「フィルムスコア(リング)」の場合は
特殊な意図がない限り
フェード・アウトは控えられる傾向があります。