「伏線」を用いた表現

 

伏線とは「その後に起こることを予めほのめかしておく手法」であり、
「映像表現+”音”の表現」として伏線をはることもできれば、
「音楽表現(純粋な音楽)」として示すこともできます。
例えば「映像表現+”音”の表現」としての
この後に起こる不吉なこと暗示させる定番的な伏線としては
次のような例が挙げられます。

・風も吹いていないのに自転車が倒れる
・真夜中に何度も犬が泣く
・犬の鳴き声にエコーをかける

これらはほんの一例ですが、
「映像表現+”音”の表現」でアクセントを加えるといった数々の例は、
従来の映像で度々使用されてきた手法です。

「音楽表現(純粋な音楽)」としての
この後に起こる不吉なこと暗示させる伏線も多く聴かれますが、
テレビドラマ「菊次郎とさき」を例にあげます。
ドラマ自体はシリーズものですので
ピンポイントの話題になりますが、
家族団欒とも取れる「お茶の間の映像」に対して流れていたメインテーマは
「メランコリック」な曲想でした。
作曲をした坂田晃一氏によると、
これは後に起こることを踏まえた上での音楽演出だったそうです。
伏線というのは、
やり方によっては
劇作品と音楽との対位法」とも共通点がある表現と言えるでしょう。

「映像表現+”音”の表現」による伏線は映像ありきですが、
「音楽表現(純粋な音楽)」による伏線は
「舞台の音楽」や「音声ドラマの音楽」でも使われます。