ピアノ演奏の未熟さで状況内音楽であると示す

 

映画を観ていたら、
「演奏の未熟さで状況内音楽であると示す演出」
を見つけました。

増村保造監督映画「青空娘」(1957年)
のちょうど中盤あたりで
登場人物の小野有子が屋外を歩いていると
クーラウ「ソナチネ op.20-1 第1楽章」が聴こえてきます。
初心者のピアノ学習で定番の楽曲です。
この場面では映像としては一切「音源」を見せません。

【補足】
音源とは、
ここでは「ピアノを練習している人物」のことです。
状況内音楽の中でも例えば、
「レコードの音」でしたら
「作動しているレコード」が音源ですし、
「人の歌声」でしたら
「歌っている人物」が音源となります。

通常の劇音楽(状況外音楽)においても
ピアノ曲が用いられることはいくらでもあります。
一方、ここで聴こえてくる演奏はあまりにも未熟でまだですので、
作品の観客は
「近所の住人が練習している音が聴こえてきているんだな」
などと当然のように理解できます。
したがって、
一切音源を見せていなくても
「状況内音楽」として成立しています。

これが仮に ”ある程度” 上手な演奏だったとしたら
通常の劇音楽(状況外音楽)と勘違いされる可能性も高くなります。
その場合は、
映像で音源を見せることで
「この人物が出している音ですよ」と分からせるような
「説明的な演出」をしなければ成立しなくなってしまいます。

 


 

増村保造監督映画「青空娘」(1957年)
2023年現在、「Amazon Prime Video」で観ることができます。
(視聴時期によっては、配信終了している可能性もあります。)

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