今回のテーマは、
「実際の声」と「声に似た音声」との併置により創り出された音楽演出について。
少し変わった演出です。
溝口健二監督遺作映画「赤線地帯」(1956年)
のラストシーンで
娼婦たちが客引きをしています。
誘いかけの言葉が飛び交い、
実際の音声として
女性の声が多く聴かれます。
そこに付けられている音楽は、
「電子楽器のポルタメント」が連続したもの。
そのサウンドは人間の声にとても似ているので、
併置されることで
同化するような特徴的な効果が生まれています。
「映像内の音声の特徴を応用した音楽」
と言えるでしょう。
少し奇妙にも聴こえる演出なので
映画のラストシーンに余韻を残す意図があったのかもしれません。
関連記事を以前に書いています。
「棺桶を打つ実音」と「木質のパーカッション」との併置
溝口健二監督遺作映画「赤線地帯」(1956年)は
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