舞台設定と音色との関係

 

羽仁進監督映画「教室の子供たち」(1955年)
という記録映画があります。
今でも時々TV番組の特集などで目にすることができる短編です。

この映画の音楽は全て「ピアノソロの楽曲のみ」で構成されています。
やっていることがシンプルそうにも感じますが、
実は劇音楽をピアノソロの楽曲のみで構成するのは意外と難しいのです。
(「アコースティック・ピアノの音色を用いた背景音楽
という記事に詳細を書いています。)

本作の音楽は、
上記記事で取り上げた
「即興的要素を強く打ち出した音楽」
「環境音による聴覚的な補佐」
このどちらも当てはまりません。
では、どのようにしてピアノソロ楽曲のみでの構成を成立させているのでしょうか。

「本編自体の短さ」

この点が大きいと感じます。

本編は「約30分」と非常に短い記録映画ですので
全体の曲数自体は長編映画に比べると少なく
音色自体にも飽きずに観ることができます。

また、
音楽面での別の注目点としては
「舞台設定と音色との関係」
が挙げられます。
「小学2年生を取材した、小学校が舞台の記録映画」
という内容なので、
「ピアノの音」という、
小学校でよく聴こえてくる音の代表的なものを使うことで
映像と音楽との関連性を感じることができます。