「カットアウト」とは、
簡潔には「再生している映像または音声を電気的にストンとカットする」手法です。
「カットオフ」と呼ばれることもあります。
カットアウトの演出には様々なやり方が見られますが、
今回は、
渡邊祐介監督映画「黒の奔流」(1972年)
の中で出てくる、
「 “きっかけ” の音声によるカットアウト」
の例を2種類ご紹介します。
「波の音」で映像と音楽の両方をカットアウト
中盤、登場人物の「武」と「藤江」とのラブシーンがあります。
シーンがいよいよ盛り上がってきたところで
ほんの少し「波の音(次のシーンの音)」が ”くって” 入ってきます。
この音が「きっかけ」となり、
映像と音楽の両方がカットアウト。
ラブシーンという世界から
映像と音楽の両面で現実に戻す効果が出ています。
「叫び声」で音楽のみをカットアウト
もう一つは、物語が2/3程度進んだ辺りに出てきます。
去っていく「武」に対して「藤江」が
「待って!」
と叫ぶセリフがあります。
ここでは、
その叫び声が「きっかけ」となり
音楽のみがカットアウト。
カットアウト自体が緊張感を表現していますが、
音楽が無くなることで
「時計の秒針の音」のみがスクリーンに響き、
緊張感を一層強いものにしています。
その緊張感をもって
「あなたは私から離れることはできないわ」
「真犯人は私です」
から始まる、一種の脅迫セリフに一層の深みを与える効果が出ています。
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