「季節」を感じさせる音声

 

「舞台劇」とは異なり「映像作品」では、
「空間的に、時的に自由」です。
「日本と海外を瞬時に切り替える」
といった演出なども可能になります。

映像作品では
「映像で説明する」
「セリフで説明する」
という方法以外では
どのように時間的要素を観客に伝えているのでしょうか。
時間表現における代表的なものの一つとしては「季節」があります。

中村登監督映画「塩狩峠」(1973年)
の中に出てくる、
季節を感じさせる「音声」は大きく8種類でした。

◉風鈴の音(主に夏)
◉セミの鳴き声(夏)
◉スズムシの鳴き声(主に夏)
◉祭りの音(主に夏、映像とあわせて認識される音)
◉雪降ろしの音(主に冬、映像とあわせて認識される音)
◉雪の上を歩く音(主に冬)
◉吹雪の音(冬、映像とあわせて認識される音)

最後の3つは全て「雪関連」の音声ですが、
同じ雪の音であっても
それぞれの表情は大きく異なるものでした。

「季節を感じさせる音声」は
「具体的なイメージを想起させる」
という点で非常に印象的なサウンド。
(関連記事 :「時間帯、時代を感じさせる音声」)
同時に、
「説明的」でもあるので
どのくらい取り入れられるかは演出次第となります。

 


 

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