セリフに合わせて音量調節される音楽

 

音楽演出によっては、
映像作品の中で
セリフに合わせて音楽の音量調節がされる場合もあります。
種類としては大きく次の2パターンです。
①セリフが入ってきたタイミングで音楽の音量を機械的に下げる
②セリフが入ってきたタイミングで ”音楽自体” を変化させてセリフを邪魔しないようにする

②は、「フィルムスコア(リング)」のように
映像が出来上がった後に音楽を作曲する場合ならではの音楽演出です。

例えば、
小津安二郎監督作品「東京暮色」(1957年)
のラスト20分くらいのシーンでは、
セリフが入る箇所で音楽の音量を下げるという演出が
ポストプロダクション処理ではなく ”音楽として” とられていました。
(ポストプロダクションでも補佐的に若干音量を下げているかもしれませんが…。)
つまり、②です。
それまでは弦楽器が歌い上げる曲想でしたが、
セリフに合わせて
ポツポツとした音が中心の「薄いオーケストレーション」に変化。
その結果、
セリフがより聴こえやすい状態を “音楽として” 作り上げられています。

ミッキーマウシング」ほど極端ではありませんが、
映像に音楽が従属している一つの例となっています。

 


 

小津安二郎監督作品「東京暮色」(1957年)
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