劇音楽に使われる「民族楽器」

本記事は以前に「リアルサウンド」で執筆した自身の原稿をもとにしています。

 

民族楽器を背景音楽に取り入れることは実は高度な手法です。
なぜなら、
民族楽器は非常に主張が強いため、
安易に取り入れると
劇の中で予想外にそのサウンドが「意味を持ってしまう」可能性があるからです。
これは日本の歴史を題材にした劇作品でも
和楽器を大胆に使った音楽は意外と限られていることからも想像できます。
また、
安易にエキゾチックな表現を出したくないという演出意図がある場合は、
和楽器を使わずに「和楽器の特徴を西洋の楽器で表現する」
という方法がとられることもあります。
(これに関しての詳細は「作曲の領域」になりますので、本ジャーナルでは割愛します。)

別の視点から考えると、
音楽演出次第では
音色が主張するという点を利用し、
「劇作品に対して、作品の核となる強いニュアンスを与えること」
を狙うこともできます。

西洋の楽器が持っていない表現(「演奏によって自然なノイズが発生する」など)を
沢山備えている和楽器の存在は劇音楽の分野でも重要視され、
常に探求が続けられています。