ほんとうの状況内ではない、状況内音楽

 

今回は、
福田純監督映画「ハワイの若大将」(1963年)
を題材に
ほんとうの状況内ではない、状況内音楽」について
取り上げていきます。

本編37分ごろ、
若大将(加山雄三)が海辺でウクレレを弾きながら
「DEDICATED(恋は赤いバラ)」
を歌う場面が出てきます。
中里澄子(星由里子)へ弾き語っています。

つまり「状況内音楽」ですが、
「波や風の音」
「人間の歩く音」
などをはじめとした
あらゆる環境音や物音はミュートされている。
それに、
ストリングスの音など
状況内に存在しない楽器の音も入ってくる。

ときどき見受けられる音楽演出方法で、
ほんとうの意味での状況内ではなく
「映画のためにつくった仮想の状況内」
ということになります。

おそらく、以下のどちらかの理由によるのでしょう。

◉ 映像というよりは、歌に焦点を当てた演出がしたい場面だった
◉ 演技の中で歌った音声ではなく、あらかじめ録音した音源を使いたい場面だった

 

ここの音楽演出で面白いのは、

◉ 直前の「海辺で歩いている場面の音楽」からスムーズにつながっている
◉ 直後の「夜に変わった場面の音楽」へスムーズにつながっている

という、
直前および直後の音楽とのシームレスなつなげ方。

状況変化や場面変化が、
ひとつながりの(ように聴かせる)音楽で
さりげなく表現されています。

 


 

福田純監督映画「ハワイの若大将」(1963年)は
現在、「Amazon Prime Video」で観ることができます。
(視聴時期によっては、配信終了している可能性もあります。)

» Amazon Prime Video「30日間の無料体験」はこちら

 

現在、「U-NEXT(ユーネクスト)」でも観ることができます。
(視聴時期によっては、配信終了している可能性もあります。)

 

◉ ハワイの若大将 <東宝DVD名作セレクション>