今回の記事も「状況内音楽」関連の内容です。
「”1つ”の音楽を”複数”の状況内音楽として聴かせる音楽演出」について。
具体例として、
鍛冶昇監督映画「青春の鐘」(1969年)
の一場面をとりあげます。
【状況内音楽①】
登場人物の「正吉」「久美子」「春夫」が
年末にオーケストラ演奏会を聴いている場面があり、
年末恒例の「ベートーヴェン : 第九」が演奏されています。
実際にその場で演奏されている音楽なので
外的に付けられた状況”外”音楽ではありません。
登場人物の「正吉」「久美子」「春夫」が
年末にオーケストラ演奏会を聴いている場面があり、
年末恒例の「ベートーヴェン : 第九」が演奏されています。
実際にその場で演奏されている音楽なので
外的に付けられた状況”外”音楽ではありません。
【状況内音楽②】
加えて、
「その演奏会がテレビ放映されている」という設定で
久美子、春夫の自宅「依田家」のテレビでも
同じ第九が流れている様子が映し出されます。
当然「映画の中で実際に流れている」という設定なので
外的に付けられた状況”外”音楽ではありません。
加えて、
「その演奏会がテレビ放映されている」という設定で
久美子、春夫の自宅「依田家」のテレビでも
同じ第九が流れている様子が映し出されます。
当然「映画の中で実際に流れている」という設定なので
外的に付けられた状況”外”音楽ではありません。
これら状況内音楽①②がどちらも「同じ音楽」である、
という点が割と珍しい。
(状況内音楽は “単独” で “一つの場面” で用いられることの方が
圧倒的に多いように感じます。)
この演出により、
「2つの場が同じ時間に存在している」
ということを観客が認識できます。
劇作品の中で「時間経過をどう表現するか」というのは
ワンパターンではなく、
「映像のみで表現する」
「音楽(音声)のみで表現する」
「映像と音楽(音声)との組み合わせで表現する」
「音楽(音声)のみで表現する」
「映像と音楽(音声)との組み合わせで表現する」
などといったように分類できるでしょう。
ここでは、
「同じ時間に存在している(大きな時間経過はしていない)」
ということを
「映像と音楽との組み合わせ」で表現していることになります。
鍛冶昇監督映画「青春の鐘」(1969年)は
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(視聴時期によっては、配信終了している可能性もあります。)
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