登場人物の「動作」がきっかけで認識される状況内音楽

 

引き続き「状況内音楽」の話題です。
登場人物の “セリフ” がきっかけで状況内音楽と認識されるケース
については先日記事にしましたが、
今回は
「登場人物の “動作” がきっかけで状況内音楽と認識されるケース」
の使用例を挙げます。

西河克己監督映画「草を刈る娘」(1961年)
の開始5分程度の箇所で、
村が朝を迎えるシーンがあります。
そのときに「笛の音によるメロディ」が流されるのですが、
普通に考えた場合は
通常の劇音楽(状況外音楽)であると認識されがちです。
しかし、
この笛の音楽が合図となって
村の人々が挨拶をしながら次々に藁の家から出てきます。
この登場人物の “動作” によって
笛の音が実際にその場で聴こえている音楽、
つまり「状況内音楽」として認識されることになります。

ちなみに、
映像としては「村がある ”広い” 平野」が映し出されているので
この笛の音に対して
残響を付け加えて遠くから聴こえてくるように処理されています。
これだけでも「状況内音楽」であると判断する理由になりそうですが、
実際は
外的に付けられた「状況外音楽」にもこのような処理がされることはあります。
「広い空間」を音楽で表現したい場合、
意図的に残響を多く演出した説明的な音響をつけることがあるのです。
したがって、
これだけでは状況内音楽であると判断することはできません。

 


 

西河克己監督映画「草を刈る娘」(1961年)
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