「状況内音楽」と「状況外音楽」との細かな移行

 

舛田利雄監督映画「青春とはなんだ」(1965年)
の開始50分ごろの場面では、
状況内音楽」と「状況外音楽」との細かな移行が確認できます。

簡易的な図にしてみました。

アメリカ民謡である「リパブリック讃歌」のメロディをもとに
この図のような表現変化が見られます。

映像としては、

「夜道で、野々村健介(石原裕次郎)がリパブリック讃歌のメロディを歌っている」

「そのメロディをブラスバンドが演奏しているシーン」

これら2場面。
しかし、
音楽には細かな役割変化が起きます。


夜道で、野々村健介がリパブリック讃歌のメロディを歌い始めた時は
「歌のソロ」です。つまり伴奏なし。(状況内音楽)


そこに「ブラスバンドの音による伴奏」がかぶさってきます。
「映像で映っている夜道」や「夜道から音の聴こえる範囲内」
にブラスバンドがいるわけではないので、
この伴奏部分は状況外音楽です。
つまり、
「状況内音楽+状況外音楽」
として両方が同時に響いていることになります。


その後、
楽曲自体は続いていながら歌は終わることで
ブラスバンドのみで成立するアレンジに変わります。
「状況内音楽+状況外音楽」だったものが
「状況外音楽オンリー」になりました。


しかし、
その後、映像が「ブラスバンドの演奏シーン」へと変わることで、
状況外音楽オンリーだと思っていた音楽は
実は「状況内音楽の先取りだった」ということが分かるわけです。

改めて、先ほどの図をご覧に入れます。

こうやって言葉で書くと分かりにくいですよね。
是非一度本編を観てみてください。


 

舛田利雄監督映画「青春とはなんだ」(1965年)は
2022年現在、「Amazon Prime Video」で観ることができます。
(視聴時期によっては、配信終了している可能性もあります。)

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◉ 青春とはなんだ