「状況内音楽」は、
「実際に楽器を弾く」
「店の中で店内BGMがかかっている」
などといった「ストーリーの中で実際に聴こえている音楽」。
したがって、
自然と登場人物の心情などとは無関係の音楽も多くなります。
例えば、
落ち込んでいるヒロインがいる喫茶店で
BGMとして天気の良い音楽がかかっていたりします。
もちろん、
店内BGMだとはっきり認識できるように映像で伝えられていれば
不自然には感じません。
一方、
状況内音楽で登場人物の心情を表現している例もあります。
今井正監督映画「青い山脈」(1949年)
の中で、
女学院教師である島崎雪子が同僚の音楽教師とともに
音楽室にいる場面があります。
落ち込んでいる島崎雪子が、
「ねえ、弾いて。何か弾いて。」
と音楽教師に言います。
そして、
その場のグランドピアノで演奏された楽曲が、
「シューマン「謝肉祭」op.9 より 17.告白」
です。
ピアノソロ組曲の一部であるメランコリックな小品で
心情をそのまま表現しているかのような印象を受ける状況内音楽となりました。
これが仮に「状況外音楽」として外的につけられた音楽だったとしたら、
島崎雪子が伏し眼がちに
演奏している音楽教師とピアノを見つめているという
味のある映像表現はできません。
映像表現と音楽表現が結びついて
一つのドラマを生み出している好例です。
今井正監督映画「青い山脈」(1949年)は
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