小林正樹監督作品の中から
「緊張感を表現するSE的な音楽」を用いた例を2作品ご紹介します。
小林正樹監督映画「あなた買います」(1956年)
この映画では、
主人公の岸本大介(佐田啓二)が
心の中を吐露する「モノローグによるセリフ演出」があります。
合計7箇所出てきますが、
この7箇所すべてで
「緊張感を表現するSE的な音楽」
が使われています。
(用語解説記事:SE, ME, コンマ, ジングル, サウンドロゴ)
無機質で超音波のようなその音は
その他の使われている音楽とは明らかに異質。
ただでさえ緊張したモノローグのセリフ内容に
さらなる緊張感を与える効果が出ています。
「よこしまなことを考えている」
「作戦を練っている」
「作戦を練っている」
こういった時にだけモノローグが用いられているのが
この映画における特徴。
以下、
同じ監督の同時期作品に
似たような手法がとられている例です。
小林正樹監督映画「壁あつき部屋」(1956年)
巣鴨拘置所に服役中のBC級戦犯が題材となった本作。
物語前半にある、
「服役中の外国人が、夜中に食糧を盗むシーン」。
ここでも「緊張感を表現するSE的な音楽」が使用されることで
シーンにより一層の緊張感を与えています。
さらに、
悪事がバレた瞬間にその音声が「カットアウト」されることで
緊張感の解放の瞬間までコントロール。
モノローグは出てきませんが、似たような音声が使用された例となります。
同映画の中で、
登場人物の山下(浜田寅彦)が重労働終身刑の判決を受けるシーン。
こちらでは「モノローグによるセリフ演出」があり、
やはり「緊張感を表現するSE的な音楽」が使用されています。
同じ監督の同時期作品に
似たような手法がとられている例と言えるでしょう。
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